「お祝い?」 「そうだ。確か、誕生日の代わりのようなものなんだろう。アネモネが決めた『記念日』とやらは。なら今日は祝うべき日だ」

ロアは手元に自分の手帳を持っていました。ロア自身は白紙の魔導書ですが、手帳の中には沢山の書き込みがあります。その中に刻まれているひとつ、それがアネモネの記念日だったのでした。しかし、言われた側であるアネモネはぽかんとしているのです。少々拍子抜けした様子で、ロアは確認します。

「自分で決めておいて、自分で忘れたか?」 「……私が忘れっぽいこと、知ってるでしょう」 「知っている。仕方がない、ならこれはサプライズということになるな」 ロアは大きな鞄の中から紙袋に入ったとびきり大きな包みのようなものを取り出し、アネモネの前に差し出しました。 「これ、私に?」 「話の流れとして、これで異なっていた場合は少々話がややこしいことになる。これはアネモネのものに違いない」 「そうなのね……! やだ、すっごく嬉しいの、どうしたらいいかしら!」

アネモネは瞳の中の花弁をくるくると回しながら、ぴょんと飛び上がります。

「ロアからの贈り物は、いつも旅のお土産たくさんだから慣れっこかと思いがちだけど、全然そんなことないんだわ。だってきっと、時間をかけて選んでくれたでしょう。迷ったくれたでしょう。そういうの、受け取る一瞬だけじゃわからないことかもしれないけど、私はわかるの。だから嬉しい!」 「確かに時間もかけた。悩みもした。だが、封を切る前からそれでは、中身に落胆するかもしれない」 「そんなことないわ! 確信持って言えるわよ。絶対にそんなことない!」

紙袋から取り出した、リボンのかかったプレゼントボックスを眺め、アネモネは頬を赤くさせていました。

「でもそわそわしちゃうわ。早く中身を見たい気持ちと、このワクワクを取っておきたい気持ち。どっちが勝つかしらね!」


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